そもそもマウスって?
その誕生は1960年代にさかのぼり、
最初の商業用マウスはダグラス・エンゲルバートというアメリカの発明家によって開発されました。
「マウス」という名称は、
その外見と動きがネズミ(mouse)に似ていることに由来します。
初期のマウスは有線でPCと接続するものが主で、
そのケーブルが尻尾のように見えることからこの名前が付けられました。
また発明当初、マウスの「尻尾」がユーザーの方に向くような設計だった為、
ネズミに例えたのが自然だったとも言われています。
マウスの発明者であるダグラス・エンゲルバートとそのチームが、
1960年代にこのデバイスを開発した際、特に正式な名前を決める前に、
このユーモラスな呼称が定着したと伝えられています。
このシンプルで親しみやすい名前は、後に広く普及し、
今日に至るまで60余年の間「マウス」として定着しています。
マウスの進化?「トラックボールマウス」
トラックボールマウスの歴史は、コンピュータ黎明期にさかのぼります。
誕生から現在に至るまで、操作性や技術の進化と共に、
トラックボールは独自の役割を築いてきました。
実はトラックボールはマウスの為に開発された技術ではありません。
余談に余談を重ねますが、先ずはトラックボールマウスの歴史から紐解きましょう。
トラックボールの誕生|コンピュータ時代以前の起源
トラックボールは、意外にも第二次世界大戦後の軍事技術から生まれたものです。
1952年、世界初のトラックボールのプロトタイプが、
カナダの海軍によって射撃管制装置に採用されました。
このデバイスでは、ボーリング球を使った巨大なトラックボールが使用され、
レーダー操作を効率化しました。
ボールの動きを機械的に検知し、
画面上のカーソルを制御するシステムが組み込まれていた点は、
現代のトラックボールと同様です。
当時のトラックボールは、軍事用の特殊な機器だったため、一般向けには普及していませんでした。
コンピュータとの融合|マウスの誕生とトラックボールの再発見
1960年代|マウスとの競争
前述「そもそもマウスって?」で記載の通り、
1964年、スタンフォード研究所のダグラス・エンゲルバートが、
木製ケースに2つのローラーを取り付けた「マウス」を発明しました。
この発明が一般的なマウスの先駆けです。
一方でトラックボールはマウスと似た技術として、
特に限られたスペースで操作する用途に注目され始めます。
マウス発明から4年後の1968年、ドイツのテレフンケン(Telefunken)社が、
初めて商業用コンピュータ向けにトラックボールを搭載した端末を製造しました。
ただし、これは独立した周辺機器ではなく、
組み込み型の操作デバイスとしての使用が中心でした。
Beatlesの初期作品(1962-1964頃)録音の際、
アビー・ロード・スタジオで使用された
ミキシングコンソールもテレフンケン社製です。
1980年代|トラックボールマウスの普及開始
パーソナルコンピュータ(PC)の普及が進んだ1980年代には、
トラックボールの実用化が一気に進みます。
1982年にはAppleがリリースした「Lisa」というコンピュータに付属した周辺機器として、
トラックボールが使用されることが検討されましたが、
最終的には通常のマウスが採用されました。
流石Apple。。。
1983年、Atari(アタリ)がAtari 5200というゲーム機用のコントローラーとして
トラックボールをリリース。
これは家庭用で使われた最初期の例の一つで、
アーケードゲームなどの操作にも活用されました。
「アタリ」という名前ですが、アメリカ発の会社です。
1972年創業で、創業者のノーラン・ブッシュネルが
囲碁好きだった為、囲碁用語の「アタリ」から命名されました。
この時期のトラックボールは、特にゲームや特殊な業務用機器での使用が多く、
マウスの代替品としての認知はまだ一般的ではありませんでした。
1990年代|マウスとトラックボールの分岐点
1990年代は、トラックボールが本格的に周辺機器として販売され始めた時期です。
Kensington(ケンジントン)やLogitech(日本ではロジクール)などの企業が、
トラックボール製品を発売しました。
これにより、事務作業やデザイン作業などの専門用途に広く使われるようになります。
特に、トラックボールの省スペース性が注目され、
金融業務やCADなどの多画面環境で愛用されました。
現在でもその省スペース性はワークスペースに
活かされていますね!
代表モデルの登場
- Kensington Expert Mouse(1995年):大型のトラックボールで、CAD設計者やクリエイターに愛される名機。
- Logitech Marble Mouse:親指操作型のトラックボールとして、初心者から上級者まで幅広い支持を集めました。
WindowsやMacOSが普及する中、マウス操作が一般化する一方で、
トラックボールは快適性と操作性を重視する一部ユーザー向けの選択肢として
定着していきました。
2000年代~2010年代|トラックボールの進化とニッチ市場への展開
この時期、トラックボールはマウス市場において
ニッチなポジションを占めるようになっていきます。
2000年代前半には、ワイヤレス技術の進歩に伴い、
ケーブルに縛られないトラックボールが登場。
現在ではBluetooth対応モデルも増え、
特に携帯性を重視するユーザーに支持されております。
医療・工業分野での活用
トラックボールは、狭い場所や手首の負担を減らす必要がある医療現場でも活用されるようになりました。
工場の制御盤や輸送機器でも、スペースが限られる環境での操作デバイスとして引き続き使用されています。
2020年代|再評価されるトラックボール
テレワークやリモートワークの普及により、
長時間のパソコン作業が増加した2020年代は、再びトラックボールが注目されています。
腱鞘炎や肩こりに悩むユーザーが増えたことにより、
トラックボールの人体への負担軽減効果が再評価されました。
また、Logicool MX Ergo(2017年発売)のような、
角度を調整できる親指型トラックボールマウスが発売され、
今でもリモートワークユーザーの間で高い人気を誇っています。
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